四六判・208頁・2色
定価 3,960円(本体3,600円+税10%)
齋藤 憲彬
中医協の歯科側委員としての経験から、今に繋がる論点を解説
著者の中医協委員時代から今日に至る、歯科における診療報酬の諸問題の経過、さらには診療報酬が決定されていく過程の議論のポイントを分かりやすく解説する。今後、歯科診療報酬のあり方を検討する上で押さえておくべき勘所を書き下ろした必読の書。
目次
診療報酬改定の真髄を知った
高橋 英登
日本歯科医師連盟 会長
東京都 医療法人社団慧医会 井荻歯科医院 院長
現時点での我が国の医師数は約33万人、歯科医師数は約11万人。
それなのに総医療費(2020年)約45兆円のうち歯科には3兆円、6.8%しか来ていない!!これってなんでなのだろう?
医科には内科・外科・小児科・耳鼻咽喉科・皮膚科・精神科等々診療形態が全く違う幾多の科があっても初再診料はすべて同一。
医科と歯科では初診料で270円、再診料で200円といった厳然とした差違が存在している(令和2年度改定時点)。
(以前は同一だった時代があったのに…)なぜまた差違を生じる事になってしまったのか…。
昔は存在していなかったけれど…考えてみると理にかなっている補綴物に対する維持管理料ってどうやって導入されたの?支払側はよく納得したね!!
ベテランの先生方は覚えていらっしゃるかもしれませんが、歯槽膿漏症治療のPⅠ型、PⅡ型…今や、全身疾患に大きく影響する事は周知の事実となっている歯周病の治療が紆余曲折を経て、いかにして現在の姿になっていったのか…。
現在も未解決どころか、歯科界を悩ます大問題になっている「金銀パラジウム合金」がどのように歯冠修復材料として導入され、乱高下する投機金属故に困難極まるその公定価格の改定がどのように行われてきたのか…(なんで金パラを使って歯冠修復をするたびに赤字を被らなくちゃならないんだ!!)
我々、開業歯科医にとって最も興味がある医院経営の柱である診療報酬。その我々には計り知れない診療報酬改定作業の「闇?」はマズイ、「謎?」もどうかな…「裏側?」もちょっとなぁ…。そうだ「真相」だ!
その「真相」について、これほどリアルに赤裸々に語れる人は「齋藤憲彬」しかいない!!
えっ!!こうなっていたんだ!!あっ!!そうだったんだ!!…と『目から鱗』の記載満載である。
私は現在、診療報酬改定時にはその改定原資とも言える財源を確保する、日本歯科医師連盟という仕事に関与しており、今回(令和4年度)の改定でも目指した「初再診料の医科歯科格差の是正」という命題に対し、十分な成果を上げる事が叶わず意気消沈していた中で、この齋藤論文に接し、自分の考え方の浅はかさに大いに反省させられた。
「歯科診療報酬改定」の「生き字引」である齋藤憲彬先生からは、まだまだ学び取るべき点が多々ある事を実感した。著者渾身の「後輩歯科医師への指導書」である。
歯科診療報酬の論点/40年以上にわたって歯科保険の第一線にかかわってこられた齋藤憲彬先生が、今に繋がる歯科診療報酬の論点を分かりやすく解説した一冊です。