竹内 佐年 院長
竹内佐年デンタルオフィス(愛知県豊田市)
◎MEDIA PACS(メディア パックス)のどんな点に着目して導入を決断されたのですか?
竹内先生着目点は2点あります。1つめは、MEDIA PACSの強力なビュワー機能をコンサルテーションに活用したいと思ったから。すでにVisual MAXをスタッフ用患者コミュニケーションシステムとして全チェアに配備しておりますので、カウンセリングルームでは、メインシステムとしてMEDIA PACSを、サブとしてVisual MAXを配備するフォーメーションがパッと浮かびました。
2つめは、画像データを院外で保管したかったということ。情報の危機管理をリアルに考えていたからです。平成12年の東海豪雨で院内が浸水被害を受けた先輩歯科医師から、データ保全は最優先で考えろとアドバイスを受けていたことと、わが身の体験としても、移転前の駅ビルの診療所が落雷を受けてPCをダメにしたことがあるからです。そして平成23年の東日本大震災。さらにこの建物が建つ現在地そのものが、東海豪雨で床上70cmの浸水に見舞われた地域なんです。そうしたことからデータセンターで保存・管理を行う方法は、情報保全・危機管理も期待できると判断しました。CTルーム、MEDIA PACSを配備したカウンセリングルーム、そしてメインの治療室も2階に設けていますが、これも危機管理の意味からです。私は平成5年に開業して以来、ずっと自由診療を軸に診療を進めてきました。自由診療は、私が勧める診療の価値が、患者さんに理解されなければ前に進めません。そこで注力してきたのは画像を使って説明すること。特に効果を上げていたのはVisual MAXです。その経験から、MEDIA PACSを知った時、コンサルテーションに使えば、私の診療の価値を患者さんに理解していただく上で、必ず意味を持つシステムになると確信しました。MEDIA PACSの導入は、一言で言えば、5年先、10年先を考えたコンサルテーションのあり方を追究した対応です。
歯科診療の価値が伝わる
コンサルテーションのあり方を考えたわけです。
◎MEDIA PACSはどのように運用されてますか?
竹内先生当院は紹介患者さんが多く、当院の診療スタイルをあらかじめ理解されて来院される方がほとんどですが、まず、初診ですべての患者さんにペーパー問診を受けていただき、下記の2択方式で
① 問題だけ治してほしい → 問題解決を優先し、治療
② 主訴以外の問題もすべて治してほしい
→デンタルドックの紹介 → デンタルドック受診
という対応で進みます。
ほとんどの方は②を選ばれますが、①を選ばれた少数の方も、主訴の応急処置後に②に移行される方が多いですね。
竹内先生デンタルドックは、イグザミネーション(精密診査)とコンサルテーション(治療説明)をセットにした歯科ドックで、私の診療で最も重要なステージです。
ドックは、別記のような流れと内容で都合3回のアポイントを設定し、診査・診断の結果から精査した治療提案から治療法を選んでいただくことでプログラムを決定します。そのデンタルドックの全プロセスを通してMEDIA PACSとサブシステムとしてVisual MAXをフルに利用します。
◎イグザミネーション(診査)とコンサルテーション(説明)、それぞれに注力ポイントがおありだと思うのですが・・・
竹内先生イグザミネーションでは、
① 今から何の検査を何のために行うかということをしっかり説明し、理解してもらう。
② 診査するDr.が口頭で診査結果を記録係である歯科衛生士に伝えることによって、リアルタイムで患者の耳に入れ、その場で自身の口腔内をイメージしてもらう。
③ そのために専門用語をいっさい使わない
以上がポイントです。
◎ イグザミネーションの成功/不成功のモノサシみたいなものはあるのですか?
竹内先生あります。診査が終わった時、患者さんから「私はどうしたらいいんですか?」「私は治るんですか?」というどちらかの言葉が出れば、イグザムとしては100点満点、大成功です。つまり、患者さん自身がすでに診査を終えた時点で、ある程度自身の口腔内を正確に把握できている証拠ですから。どちらかの言葉が出なければ、どんなに診査値が正確に採れても、私の意図するイグザムとしては10点ぐらい、と評価せざるを得ません。
デンタルドック(竹内佐年デンタルオフィス)
竹内先生コンサルの仕上げとなる治療方法の提案では、ドックを受ける全ての方に「あなたの口の中はこういう状況です。だから私の考える最善の治療はこういう治療です」というひとつのヒナ型をつくり、そのヒナ型に沿って考えてみましょうと、PACSを使っておさらい画像を見せながらコンサルテーションし、「もし自分の口の中がこんな状態なら、歯科医としてこういう治療を受けたい」と私自身が思う治療法を含め、患者さんが受けることができる治療の選択肢をすべて、全部提示します。
最初は分割画面を表示
説明のときは、拡大表示を利用
次に一画面ずつ大写しして
一緒に見ながら説明します
※写真はデモ用サンプルです。実際の症例とは異なります。
◎コンサルテーションに使ってどういうところにMEDIA PACSの良さを感じますか?
竹内先生特に良さを感じるのは、CT3D画像を画面いっぱいに大写しで表示できること、そして、多角的に画像を扱えること、その操作のしやすさですね。
基本的な使い方としては、最初は分割画面で、説明に使う画像を多角的に表示します。MEDIA PACSは、CTやX線画像だけでなくデジカメ画像などの検査画像を一画面で全て表示できるので、患者さんはご自分の口の中の状況を示す画像であることがひと目でわかるから、何も説明しなくても画像に見入ります。次に、一画像ずつ拡大表示して、患者さんと一緒に見ながら説明します。MEDIA PACSで見せる画像は、必ず画面いっぱいに表示する。それがポイントです。大写しは「よく見てください」という私からのメッセージにもなるので、患者さんはしっかり見てくれます。
またMEDIA PACSの画質の良さは、信頼感に結びつく特質のひとつだと思います。
◎コンサルで一番インパクトを与えるのはどんな画像ですか?
竹内先生CTのVR(ヴォリュームレンダリング)画像を画面いっぱいに大写しにして、回転させながら多方向から見せる画像ですね。
患者さんは自分の頭頸部全体を立体画像で見るのは初めてでしょうから、必ず身を乗り出し、息を詰めて見続けます。当院のCT装置付属ソフトでは3D画像の表示能力はモニター画面を6分割したうちの一画面程度の大きさしかありませんから、画面いっぱいのMEDIA PACSとは迫力がまるで違います。ですから、VR・3D画像の全画面表示を利用して「肉付き3D画像」から→軟組織を削ぎながら「スケルトン画像」にもっていく。その画像展開のインパクトは絶大です。
デンタルドックのコンサルテーション風景
◎ドクターシステムという観点からとらえると、どんな効用を感じられますか?
竹内先生実は、そこが重要なんです。MEDIA PACSがコンサルに使いやすいのは、ドクターシステムとしてのパフォーマンスが高いからだと言えます。
まず、歯科医院で扱うあらゆる検査画像を、世界標準の医用画像規格[DICOM]に変換することで、1システムで運用できる。今後の展開や医歯連携を考えていく上でも歓迎できますね。またCT画像は、頭頸部全体の内部の状況を丸ごと記録した画像データとして、PACSのビュワー機能でスライス画像、MPR断層画像、VR画像を生成しますよね。特にMPR断層画像は、パノラマやデンタルレントゲンでは状況を目視できない部位を、ドクターが確認したい方向から目視できる画像が自由に得られる。そうしたCT画像の操作では、MEDIA PACSのCTビュワー機能は、CT装置付属ソフトよりも扱いやすい。そして得られる画像が、診療品質や情報共有の精度やレベルをものすごく押し上げてくれる。
MEDIA PACSのドクターシステムとしての真価は、X線画像やデジカメ画像の2D画像もCTなどの3D画像も、全く同じように運用できること。その相乗効果が、患者さんの納得、安心につながっていると思います。
◎CTについてはどんな運用状況ですか?
竹内先生以前はCTを撮影するケースは、インプラント治療の患者さんがほとんどでした。実際に運用してみると、エンドやペリオ、特にエンドのケースでその価値の高さを実感しますね。そのことを患者さんに伝えますから、最近ではデンタルドックを受けられるほとんどの人がオプションとして希望されますね。
MEDIA PACSのCTビュワー機能は、それだけでも大変有用性が高く、むしろCTの価値を高めるシステムと言えると思います。とにかくCT画像を扱いやすい。
◎カウンセリングルームでは、Visual MAXをMEDIA PACSのサブシステムとして導入されましたね。狙いと結果、ぜひお聞きしたいです。
竹内先生最初は、カウンセリングルームにはMEDIA PACSしか入れていなかったんですが、次の理由からMEDIA PACSとVisual MAXの両方があればベストだという予感があって導入しました。
結果は歴然。MEDIA PACSを入れるとVisual MAXの良さが改めてわかる。相乗効果はあっても無駄は出ない。面白いですね。
◎先生の自由診療理念は何がきっかけで生まれたんですか?
竹内先生自由診療を志向したのは、代診時代に自由診療を基本とする勉強会で学ばせてもらえたことが大きかったですね。それ以来、自分が歯科医師として、親や家族の歯を治療する時どういう治療をするかを、治療方針、治療方法選択の規準とするようになりました。その結論が、自分が治療を受ける立場だったら、間違いなくこういう医療を望むというものを患者さんに提供していこう。そういう歯科医院にしたいという決意になりましたね。
◎順調な立ち上がりでしたか?
竹内先生看板を出さず、ビルの5階で開業しましたから、当然口コミ以外で患者さんが来ることはないわけです。開業して2年半の間はギリギリ、ギリギリの超低空飛行でした。経済的な苦しさから、診療スタイルの変更を考えたことは何度もありましたね。「もうこれ以上経済的に妻に苦しい思いはさせたくない」と。
「最初のクリニックから移転して3年。時々花屋さんと間違えられます。ホスピタリティについてはいくつかのあまり大きくないホテルをお手本に考えました。植栽の見立てと毎日のメンテナンスは妻、絵画は私の担当です」(竹内先生)
◎転身しないですんだのはなぜでしょうか?
竹内先生どんなに苦しくても、変更しましょうと一度も言わなかった妻の無言のあと押しを感じていましたから・・・・開業から3年近く経った頃から、紹介患者さんが増えはじめた。そこから経営もグンと上向き始めました。ゾクゾクして身が引き締まりました。
◎竹内先生の自由診療理念には、歯科医療の価値を伝えたいというお気持を強く感じます。
竹内先生歯科医の私の役割は、患者さん自身に歯の管理をしていこうという意識をしっかり持ってもらうこと。歯の大切さをしっかりと正しく理解してもらうということです。どんなにいい治療をしてもその意識が植え付かなければ、その治療の価値は低い。逆に治療としては高得点を付けられる治療ではなくても、その意識を高いレベルで植え付けることができたなら、それは歯科医療として非常に価値が高い。この認識を私は大事にしています。
そのためにも私は、患者さんが「自分の健康を自発的に自分が守る」、そのために「自分自身を知る」ことが非常に大切だと思うからこそ、MEDIA PACSを導入しました。このシステムの素晴らしいところは、一番大事なところで、『伝わってほしいことが伝わる』からです。
竹内佐年デンタルオフィス 愛知県豊田市 歯科医師3名 歯科衛生士6名 歯科助手1名 歯科技工士1名 受付1名