導入事例
社会福祉法人 聖隷福祉事業団
浜松市リハビリテーション病院 様
「With」導入による業務の効率化や削減で“業務の質が変化”。
「With」によって生み出された時間は、より生産的な業務に充てることが可能になりました。
嚥下障害の患者さんの口腔内を管理する病院歯科
リハビリテーションが中心の浜松市リハビリテーション病院様に歯科があるのはなぜですか。
大野様:当院のリハビリテーション(以下、リハビリ)の中でも、かなりの割合を占める嚥下障害の患者さんの口腔を管理するため、2014年に診療科目として歯科が加わりました。食事をすると口の中が汚れるのは分かると思いますが、実は食事をしなくても汚れますので、口腔ケアが必要です。また、入院されている患者さんの口腔内は、状態が良くないケースがほとんどで歯科治療が必要な人もたくさんいます。嚥下障害のリハビリを円滑に進めるためには、歯科が必要ということです。
紙カルテの運用とシステム連携に課題
歯科部長 大野 友久様
Withを操作する大野様
既存システムの課題をお聞かせください。
大野様:歯科の創設と同時期、医科の電子カルテシステムとは別に歯科レセコンが導入されました。当時、我々は在籍していなかったので、詳しい導入経緯は分かりませんが、歯科レセコンがあること自体は素晴らしいことです。しかし、このシステム運用には2つの課題がありました。
1つ目は、電子カルテの要件を満たしていないため、カルテとして成立させるには紙に出力し、紙カルテとして運用する必要があったことです。1日あたりの新患が2~3人、再診を含めると1日の診療は20件前後になりますが、この診療に関わるデータは歯科レセコンに入力後、最終的に紙へ出力しなければなりません。
印刷はその日中に行うことが望ましいのですが、当院には歯科専属のクラークが不在のため、歯科衛生士の業務となります。しかし、歯科衛生士も入院患者さんの口腔ケアなど日々の業務に追われていますから、いつしか印刷は業務後にまとめて行うフローになっていました。これは、歯科衛生士にとって大きな負担になっていました。
また、紙カルテが増えると、保管スペースの確保が難しくなってきます。クリアファイルに入れた患者さん一人ひとりの紙カルテが毎年約500人分増えていきますから、スペースのひっ迫状況が分かると思います。ペーパーレス化を図り、早急に紙カルテの運用から脱却したいと考えていました。
2つ目は、医科の電子カルテシステムおよび医事会計システムとの連携がほとんどなかったことです。そのため、医科と歯科の双方で診療データを共有するにあたり、歯科レセコンの診療データを歯科医師が医科の電子カルテシステムにコピー&ペーストしていました。さらに、オーダー情報も医科の電子カルテシステムに入力する必要がありました。こうした付帯業務は、医療業務を妨げる足枷になっていたと思います。
また、医事会計システムとの連携もほとんどなかったため、医事課には手入力の手間を強いていました。実際、医事課では歯科レセコンのカルテ情報画面をハードコピーし、それを見ながら必要な情報を医事会計システムに手入力していたとのことです。最後は歯科レセコンの画面と請求点数に相違がないか確認しなければなりませんから、肉体的にも精神的にも疲労が大きかったと思います。
Withの導入に至ったきっかけをお聞かせください。
大野様:2020年秋、それまでの歯科レセコンの保守が終了するとのことで、これをきっかけに電子カルテとして稼働するシステムを導入する運びになりました。あらためて病院歯科に適した製品をピックアップし、フラットな目線での比較・検討に入りました。
課題を踏まえ、製品の必要な要件としたのは以下の2点です。
● 電子カルテとして利用できる
● 医科の電子カルテシステムおよび医事会計システムと連携できる
井原様:ただ、製品を調査していく中で、開業医向けの歯科システムは数多くあるものの、要件をクリアした病院歯科向けの製品は限られていました。最終的にピックアップしたのは3製品。そこからメディアさんの「With」を含む2製品に絞って比較・検討しました。
当院の利用シーンに合ったカスタマイズが可能
歯科医師 野本 亜希子様
Withを操作する野本様
歯科システムを比較・検討し、「With」を選定した理由を教えてください。
大野様:2つの要件をクリアしているのはもちろん、導入前には当院の利用シーンに合ったカスタマイズを行ってくれることが「With」導入の決め手でした。例えば、歯科診療特別対応加算を算定した際の算定理由記載項目に、あらかじめ適切な文言をいくつもインプットしておくことが可能。こうした「With」の柔軟なカスタマイズに期待しました。
実は系列の医療機関で「With」を使っていたことがありました。私としては馴染みもありますし、非常に使い勝手が良いというイメージでしたから、「With」を導入したいと考えていました。候補に挙がった別の製品を利用している医療機関を見学しましたが、「With」を導入したいという想いに変わりはありませんでした。
野本様:「With」の使い勝手を把握するため、大野先生が在籍していた医療機関を見学しました。今回の候補に挙がった他製品は見ていないので分かりませんが、「With」に関しては医科の電子カルテシステムと連携できるところに感動しました。医科の電子カルテシステムから「With」を開くことができる、「With」で入力したデータが医科の電子カルテシステムへリアルタイムに反映されるところは素直に凄いと思いました。
システム構築において苦労したことはありますか。
大野様:苦労はありません。むしろ、カスタマイズにあたってメディアさんが苦労したのではないでしょうか。メディアさんいわく「使いやすくするにはマスタが大事」とのことで、当院オリジナルのマスタをつくるため、システムの利用シーンなどを想定しながら一緒に煮詰めていきました。おかげさまで、昨年2022年4月から「With」の本稼働が始まっています。
それぞれの職種で働き方の質が変化
歯科衛生士 橋詰 桃代様
医療情報管理課・情報係 井原 貴之様
「With」導入後の評価をお聞かせください。
大野様:歯科に関わる多くのスタッフが高く評価しています。それぞれの立場から「With」の評価ポイントをお話させていただきます。
<院内のシステムと連携できる>
大野様:入力は「With」だけで済むようになりました。二度手間となる医科の電子カルテシステムや医事会計システムへの入力は不要です。また、先ほど申し上げた歯科診療特別対応加算もメニューから選択するだけですから、手入力の手間がありません。
<電子化によって紙カルテは不要に>
橋詰様:「With」導入後のシステムは電子カルテシステムとして成立していますから、診療ごとに紙に印刷する必要がありません。これにより、これまで紙カルテを作成していた手間は一切なくなりました。また、これまでは見やすさを考慮して歯式は手書きでした。歯式を紙カルテに入れて保管していたため、診察前に紙カルテを探すことから始めなければなりません。その点、「With」は歯式画面が見やすいので、手書きの必要がなく、紙カルテを探す手間もありません。補綴物や充填物がどこにあるかなども端末の画面ですぐに確認できます。
<直感的に操作できる>
野本様:私自身は産休の期間があったため、「With」の操作研修などに参加することができませんでした。ただ、ぶっつけ本番でも操作に迷うことはありませんでした。直感的に操作できるインターフェースと数々のカスタマイズが相まって、本当に使いやすいシステムだと感じています。
<歯科のレセプト業務が大幅に削減>
西山様:手入力がほぼなくなったため、歯科のレセプト作業は以前と比べて約1/4になりました。これにより、メインである医科のレセプト業務に注力することができています。また、以前は病名や歯科診療特別対応加算などの記載漏れが多く、かなり修正の必要がありました。「With」になってからは、不足情報があればエラーを出してくれるため、医師側でチェックが可能。記載漏れは激減しました。
<高い可用性を実現>
井原様:物理的にシステムがストップしてしまう事態は、これまで一回も発生していませんし、先生方からの問い合わせもほとんどありません。「With」は可用性が高く、システム的にもプログラム的にも非常に洗練されていると感じています。
コストの懸念を払拭する導入効果
電子カルテシステムに悩む病院歯科の方々に向けて、アドバイスがあればお願いします。
大野様:「With」を導入すれば、業務の効率化や削減といったところで大きな効果が得られます。そして、それによって生み出された余白時間は、より生産的な業務に充てることが可能になりました。さらに、医療現場における働き方改革にも大きな貢献を果たしてくれるはずです。コストの懸念があるかもしれませんが、導入価値は十分にあると思います。メディアさんの手厚いサポートもありますから、病院歯科の皆様にはぜひご検討いただきたいですね。
最後に今後の展望をお聞かせください。
大野様:現在は医科の入院患者さんの治療をメインで行っておりますが、ゆくゆくは歯科入院患者さんの治療も行っていこうと考えております。例えば、開業医で診てもらっているものの、さまざまな病気や複数の薬を服用している関係で抜歯できない患者さんを、当院歯科で受け入れて、短期入院の上、集中的に治療するといった対応など、当院の体制を整えてチャレンジできればと考えています。Withなら歯科疾患での入院にも対応できるため、検討しやすいと思います。